実践!まちつくり講座

地区まちづくりの実例

概要

ここでは、私が関わったいくつかの地区まちづくりの実例を素材として、みち・ひろば・いえづくりの面から、地区まちづくりについて、地区住民との関わりを中心にして、伝えたいことを整理します。

1.まちづくり

写真1
【写真1】
  • ●地区の道路計画は、まずは地区住民の要求の把握から。
  • ・密集住宅地区で、幅員6m・延長150mの防災道路ができました【写真1】。
  • ・この地区では、幅員25m道路と幅員11m道路を結ぶ道路がなく、日常生活にとって不便だという地区住民の要望がありました。この要求を行政がまちづくり協議会方式による計画づくりの呼びかけをすることにより引き出したと言えます。
  • ・地区の道路計画は、まずは、地区住民の要求をつかむことから始めるべきではないかと思います。
  • ●地区の道路計画は、地区独自の発想で。
  • ・密集事業地区で、幅員6mだけでなく幅員4.5mの道路計画も持っている地区があります。
  • ・主要生活道路の計画幅員は6mが多いのですが、幅員4.5m道路計画を付加したのは、道路拡幅に公金を投入できる位置づけが出来る最低限度の幅員を設定し、できるだけ早く地区の防災性を高めようとしたものです。
  • ・地区にあった道路の計画を、従来の基準だけによらないで考えるべきではないかと思います。

2.ひろばづくり

写真2
【写真2】
  • ●ひろばづくりは、周辺住民と一緒に楽しく取り組もう。
  • ・身近なひろばづくりでは、多くの楽しい経験をしました。ここでは、周辺住民の参加によって生まれた事例を整理します。
  • ①ひろばの話し合いの段階--------------------------------
  • ・ポケット広場づくりの初めての話し合いで、「バイクや不良のたまり場になるので、ひろば整備反対。」という方が多勢の中、「花が好きなので、お花畑になるなら賛成。」という声で、会合の雰囲気は一変。お花畑ひろばができました【写真2】。
写真3
【写真3】
  • ②ひろばの計画づくりの段階--------------------------------
  • ・ポケット広場の防火水槽に、隣家の雨樋を結びつけ、雨水利用しています【写真3】。
  • ・周辺の建替えに伴って、建替え前あったウメの木やカキの木を移植しました【写真4】。
  • ・計画案の段階で、計画地周辺住宅の方に住民が聞き取る中で、非常時の通路として奧の住宅側に1箇所非常の出入り口をつくることができました【写真5】。
写真4
【写真4】
写真5
【写真5】
写真6
【写真6】
  • ③ひろばの整備の段階----------------------------------
  • ・予算が足りなくてできないという状況の中で、予算の範囲内でやってくれる井戸掘職人を、住民が探してくれた結果、住民が希望した井戸ができました。【写真6】
  • ④ひろばの管理の段階-----------------------------------
  • ・となりのポケット広場は、自分の家のお庭の様に大切にしています。【写真7】
  • ・商店街に面した広場は、自主グループによる映画上映にも使われることもあります。【写真8】
写真7
【写真7】
写真8
【写真8】

3. いえづくり

写真9
  • ●建替えは一生に一度のもの。継続して相談にのったり、働きかけることが肝心。
  • いえづくりは、個々人にとっては一生に1度あるかどうかの一大事業です。個々人の生活再建・生活改善の要求を基礎として、継続して相談活動や働きかけを続けることが重要だと思います。ここでは、継続的な働きかけをきっかけとして生まれた事例を整理します。
  • ①継続的な相談活動がきっかけとなった共同建替えの事例-------------
  • ・幅員11mの道路沿いに3者による共同建替え(約20戸)が5年程度かけて完成しています。【写真9】
  • ・建替えのプロセスの紹介は別途紹介するとして、この共同建替えは、行政主催の建替え相談会に、地権者の方が相談に来られたことがきっかけです。個別では敷地が有効活用できないことなどを説明する中で、共同建替えの検討が始まっています。
写真10
【写真10】
  • ②継続的な制度のPR活動がきっかけとなった建替えの事例------------
  • ・戸建て住宅を10階建ての賃貸共同住宅に建て替えた例があります。【写真10】
  • ・相続税セミナーに参加し節税対策があることを知ったことと、まちづくりニュースで建替え助成制度があることを知っていたこと、さらに阪神大震災が起こったことなどが結び付き、建替えに踏み切られました。
  • ③まちづくり協議会が見学会等の学習を続け、共同建替えの候補を選んでいる事例
  • ・あるまちづくり協議会では、建替え事例等の見学会を10数回開催してきており、平成15年度には都市再生モデル調査の活動助成を受けて共同建替えモデルプランを作成しました。平成16年度は会長が地域住民に働きかけて、共同化の候補区域を新たに選んでいるところです。