実践!まちつくり講座
建築・都市計画(法)体系等について
1. 建築・都市計画法体系の概要(私的整理)
図解 建築・都市計画法体系の概要(私的整理)
2. 建築・都市計画法体系の今日的課題について ~私見:隙間をつなぐ・埋める~
(1)マスタープランの有効活用
- 都市計画マスタープランとは
- 1.マスタープラン(構想と計画)
- 構想…理念や考え方を示すもの
- 計画…理念や考え方を実体化する方向性や手だてを示すもの(レベルは様々)
- 2. 5~20年といった中長期的な構想・計画を示すもの
- → 現在はないが、中長期的に実体化すべき計画を示すことが可能。
- 3.具体的な土地利用・建築規制や公共施設整備に実体化する考え方や方向性(方針)を示すもの
- → 具体的な法規制等ではないが、新たな規制や公共施設整備に際しての「前提条件(即す)」となる。
- 4.別の構想・計画の相互関係・連携の仕方を示すもの
- → 部門相互の連携した事業執行を進めるよう、建築、都市計画、道路、みどり、等々の各種の分野の構想・計画の相互関係を示す。
- 5.構想・計画への住民意向の反映、関係者(行政と住民・民間等)との情報の共有を意図
- 構想・計画策定への住民参加プロセス
- 土地利用・建築規制や公共施設整備に実体化するに際しての住民参加プロセス
- 6.「全体計画」と「地域別計画」
- 全体計画:地域地区や都市計画施設の法定計画への展開を意図
- 地域別計画:地区計画等の地区・街区レベルの法定計画への展開を意図
- 都市計画マスタープランの課題
- 中長期の財政的裏付けが展望しにくく、財政計画とのリンケージが弱い
- 自治体の実施計画・財政計画とのリンケージが弱いことから、現実的には現状追認型のマスタープランが多い、一方で、「絵に描いた餅(マスタべーション)」との評価。
- 実現へのプログラムが弱い。
- 中長期の将来像について実体的動向がないと展望を描けない
- 特に、混合型用途地域における大規模土地利用転換の動きを誘導する手だてとはならない。
- マスタープランを具体的な土地利用・建築規制や公共施設整備へと展開していくプロセスが弱い
- 例えば、マスタープランは、土地利用・建築規制や公共施設整備を実体化する考え方や方向性(方針)を示すものであるが、開発等に際しての法規制ではなく、結果的には自主配慮事項に止まる。
- 法定規制等への展開プロセス、あるいは、行政や第三者機関の「助言・指導・勧告」等との連携プログラム
- 個別の構想・計画の連携を実現化していく手だてが弱い
- 各部門の相互調整・連携体制(特に、業務執行上の連携体制)
- 地区計画・建築協定といった法定計画への展開プロセス
- まちづくり協定などの自主条例に基づく計画などへの展開プロセス
- 参考事例
- ○ 杉並区まちづくり基本方針と都市計画、まちづくり条例
- ○ 府中市都市計画マスタープランと都市計画、地域まちづくり条例
(2)建築法制と地区・都市計画法制との隙間をつなぐ
- 建築基準法と都市計画法
- 建築基準法
- 一敷地一建築物を原則として「隣地にどのような建築物が建つかわからない」ことを前提に、全国一律の各種の相隣関係規定が「敷地単位」で定型的にかけられる仕組み
- 都市計画法
- 開発許可や地区計画という都市計画法体系は、開発規模300㎡以上あるいは街区単位といった「一定の規模以上の拡がり」を単位として一体的な計画手法あるいは住民主体による計画づくりの仕組み
- 建築基準法と都市計画法の隙間の課題
- 個々の「敷地」と「地区(街区)」との間の「数軒単位」における一体的計画手法が弱い
- 300㎡未満のミニ開発(新規開発)に対しては、建築基準法の一般規定での対応が限界
- 建築協定の運営は住民による協定運営委員会が担う→建築確認の前提条件とはならない
- 例えば、建築基準法による「敷地単位」での定型的な相隣関係規定の実現が困難な未接道敷地の集積への対応策が弱い、等中長期の将来像について実体的動向がないと展望を描けない
- 特に、混合型用途地域における大規模土地利用転換の動きを誘導する手だてとはならない。
- マスタープランを具体的な土地利用・建築規制や公共施設整備へと展開していくプロセスが弱い
- 例えば、マスタープランは、土地利用・建築規制や公共施設整備を実体化する考え方や方向性(方針)を示すものであるが、開発等に際しての法規制ではなく、結果的には自主配慮事項に止まる。
- 法定規制等への展開プロセス、あるいは、行政や第三者機関の「助言・指導・勧告」等との連携プログラム
- 幅員8m未満(特に、幅員6m以下)の道路の計画的整備の枠組みがない
- 建築基準法→前面道路の「整備」まで義務がない
- 都市計画法→8m未満の道路の計画・整備への積極的手法を持たない
- 幅員4m未満の道路・通路の積極的位置づけがない
- 建築基準法上、接道道路は4m以上
- 救済規定として42条3項水平距離指定2.7m以上、43条ただし書き許可(いわゆるただし書き空地)
- 参考事例
- ○ 荒川区における近隣まちづくり推進制度の意義と仕組み
- ○ 狭あい道路の定義と課題(まちつくり研究より)